熱中症予防や脱水症状。運動時の水分補給。この暑い季節には特に注意すべきことですね。
訓練中に倒れたり、部屋の中にいても水分補給を怠って倒れたなんて話はよく聞きます。毎年、重症者や死者がニューズでも報告されてますよね。
こういったケース。ハインリッヒの法則では、1:29:300とされ、重傷者が一人いるとしたら、軽症者は29人いるとされています。
出典:https://mental-consultants.com/?p=1709
そして、300人のニアミスが存在するとされています。この300人という部分が、ヒヤリ・ハット事案と言います。安全管理に関わる人ならば聞き覚えのある言葉ですね。
そして、今回注目したいのは、心や体のコンディショニングをテーマにした有識者の「コンディショニング研究会」(読売新聞社ほか協賛)です。
7月初めに都内で開いた総会で、夏の運動時の水分補給について議論を交わし、過剰摂取のリスクにも注意するよう呼びかけるアドバイスが纏められました。
「運動時、水分は出来るだけ多くとった方がいい」という質問に対し、答えとして「のどの渇きを目安として」という答え。
出典:http://kangen-water.jp/archives/2665
この目安が分かりにくいですね。
指導者の中には「運動中に水を飲むな!」という叱咤をする人もいますよね。
今はかなり改善されていると思いますが、その理由として、「運動中に水を飲むと汗をかきすぎて疲れやすい」「覇気(はき)が下がる」といった理由。
概ねバテやすいことと根性論ですね。しかし、現在は「運動中は積極的に水分補給を」という声が大勢を占めています。
ただ、これが必ずしも正しいとは限らないようです。
たとえば、マラソンや駅伝大会などで、足元はフラフラで意識がもうろうとしているランナー。
出典:http://runfull.net/2016/10/124/
その足取りから脱水症状が原因と考えららる方も多いでしょうが、これと同じ症状に「運動性低ナトリウム血症」というものがあります。
「運動性低ナトリウム血症」とは、大量の水分摂取によって血液中のナトリウム濃度が急に下がった状態を指します。
めまいやふらつき、吐き気、むきみなどの症状が生じ、重症の場合はけいれんや昏睡(こんすい)状態となり、死に至ることもあります。
これらの症状は、体内・細胞内の水分が増えると身体に「むくみ」が生じることから始まります。これを医学的に浮腫といいます。
出典:http://minna-suisosui.com/articles/RNp0k
脳のむくみや肺のむくみ、そして心臓が”溺れる”状態。
脳のむくみは頭痛を始め、様々な症状を引き起こし、後遺症が残ってしまう場合もあります。
そして、肺のむくみは呼吸困難の症状。心臓が溺れる状況とは要するに心不全。心臓と肺の間で血液の循環がうまくいかず、心臓のポンプ機能が損なわれます。
こういった症状を水中毒なんて呼び方もしますね。
では何を目安に水分補給を行えばよいのでしょうか。
スポーツ医学の専門誌に掲載されたガイドライン(※1)では、「過剰な水分補給による低ナトリウム血症と過度の脱水の両方を回避するには、のどの渇きという人体に備わるメカニズムを利用するとよい」とあり、運動時の水分補給はのどが渇いてから行うことを推奨しています。
また、過不足のない水分補給の目安となるのが体重です。可能であるならば運動前後の体重を計りましょう。失われた水分量を知ることができます。
そこで、ふと思ったのですが…
ダイエットで2%痩せた!と思っていたら実は水分だったわけですね…
現実は残酷です。
しかし、脱水症状にならないようにしっかり2%の水分を補うようにしましょうね。ダイエットは継続力が重要ですしね。
また、、汗と一緒に失われるナトリウムの補給も重要です。
一般的には0.1~0.2%の食塩を含む水の摂取がすすめられています。真水よりもスポーツ飲料の方が低ナトリウム血症による筋肉のけいれん(熱けいれん)の予防が期待できるという報告も出ています。
しかし、日常生活での水分補給の場合は、少し事情が変わってきます。
環境省の「熱中症環境保健マニュアル2014」では、こまめな水分補給をすすめていることは変わりませんが、スポーツ飲料を利用する場合、問題になるのが糖分ですよね。
市販のスポーツ飲料には3~6%の糖分が含まれています。500ミリリットルのペットボトル1本で6%ということですから摂取当分は約30グラム。スティックシュガー10本分になるという計算ですね。
出典:https://item.rakuten.co.jp/nakae/c/0000000104/
糖分の性質は体内に水分を保持しやすいという点、そしてエネルギーにしやすいという側面があります。
故に運動時には最適なんですが、日常生活の水分補給だと摂り過ぎになる可能性があります。環境やコンディションを確認して、その状況にあった水分補給をすることが必要ですね。
このようにこの暑い季節。熱中症は身近な危険です。
また、運動やレジャーも活発な季節です。
ただ「水の取りすぎ」で「運動性低ナトリウム血症」になりやすい季節でもあります。皆さんも注意してこの夏を乗り切ってくださいね。